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2014年12月22日月曜日

Milbenkäse、ダニチーズの村へ

今月の頭にダニ博士がドイツにやって来ました。
私たちが住む州にあるダニチーズ / Milbenkäse (ミルベンケーゼ)の村に行くためです。
Würchwitz 村にあるダニの彫刻。

博士はちょうどダニの国際会議のためにフランスに来ていたので、せっかくだからお隣のドイツへ立寄ろうと今回の来独を決定。
簡単にお隣と言っても違う国に来るわけですし、電車や飛行機で簡単に行ける大都市に行くというわけでもないので、けっこう大変でした。
私たちにとっても同じ州とはいえ一番遠いところってくらいだし、、、

ダニチーズのおじさんには前もって連絡をして、日曜ですが開けてくれるように予約しておきました。
おじさんの方でもかなり楽しみにしていたようです。
村では前日にお祭りがあったそうで、いろいろ遅くまでやっていたようなのですが、博士の滞在時間が少ないことを知ると、こちらの予定に快く合わせてくれました。
ライプツィヒ駅、すっかりクリスマスモードです。
ライプチィヒからローカル線に乗ってツァイツという町に行き、そこから更にタクシーでダニチースの村、ヴュルヒヴィッツに向かいます。
私にとっても日本から帰国して2日目のことだったので、ライプツィヒ駅のクリスマスイルミネーションが新鮮でした。
ゲラ行きの列車ですね
タクシーも前もって予約しておいたので、問題なく村へ到着。
途中ダニの彫刻のある場所で記念撮影をしました。
イタリアに行って大理石を調達。
ワインをたくさん飲ませて安く譲ってもらう交渉をしたという話です。
そしてダニチーズのお店兼博物館へ着きました。
思っていた以上に小さな村のようです。
おじさんと彼の彼女の他に、元村長というおじさんの長年の友人も私たちを待っていてくれました。
非常に友好的な挨拶を交わした後、コーヒーを入れてもらい早速ダニ話が、、、

部屋にはダニのグッズや資料があちこちに置かれていました。
ここが博物館(の部屋)ですね。
白い帽子がおじさん(ヘルムート・ペルシェ氏)、奥が元村長のシュタインバッハ氏、妻、そして右が博士
おじさんも博士にいろいろと聞きたいことがあったようで、熱心に質問していました。
博士は前日ライプツィヒに着いた時から、細かくメモを取っています。
本にするため、とにかくネタを書き留めておくんですって。
資料部屋の隣の小さな部屋でチーズが作られていました。
木箱に薄茶色の粉がいっぱい入っていて、それがほとんどダニ!と彼らの排泄物や死体ってことなんでしょうね。
その粉の中に Quark Käse / クゥァーク・ケーゼ(日本ではクヴァークって言われてるみたい)を入れて作るようです。
クゥァークというのは、フレッシュチーズに似たもっと軽い乳製品。
ドイツではパンに塗ってその上にジャムをのせたり、ハーブやフルーツを混ぜたりした物を食べます。
ケーキの材料にもよく使われます。
そのクゥァークをしぼって固めた物がクゥァーク・ケーゼ、おそらく、、、

ちなみにこの木箱、対戦中にドイツ軍の武器が入っていた箱だそうです。
弾薬とか入ってたんですかね。
すごくしっかりした作りで、ダニを入れておくのに最適なんですって。
密封され酸欠状態にならず、極度な乾燥もないとかが良いんでしょうね。

ダニにとって一番良い状況っていうのは布団の中の足の横なんですって。
妻が言うには、おじさんの話は「どこまでが本当で冗談なのかわからない」そうで、話している時に大笑いしていることがしょっちゅうでした。
ダニの中に足を入れたら水虫が治ったという話もしていました。
このダニ、チーズ作るだけじゃないじゃん、、、
博士が書いた本に出ている写真で、ダニの身体について解説中。
おじさんは「ダニについて知らないことが多い」と、とても楽しそうに話を聞いていました。
熟成されたチーズは琥珀色、光にかざしています。
今回の訪問はテレビチームによって撮影もされていました。
一度失われてしまったダニによるチーズ製法を再び蘇らせたということで、おじさんのドキュメンタリーが作られているんですって。

プレゼントの交換なんかもして、非常に友好的な感じでした。
そして試食会。
薄く切ってパンにのせて食べます。ビールもいっしょに。
100年もの?とかいうチーズも出していただきました。
100年っていうのは大げさでも、50年以上は絶対に経っているそうです。
80年物くらいでしょうかね。
それにしたってビンテージ物です。
そんなに古い物、今まで食べたことありませんでした。
今は亡き叔母が作ってた梅酒とか、それだって20年ものくらいでした。
ビンテージチーズ。色が茶色になってます。
味はすごくしっかりしていて濃厚。
いただいた物の中では一番美味しかったです。
さすがにけっこう固いです。
このダニチーズ、何かに例えるとするとカラスミみたいな感じでしょうか。
カラスミほどコッテリしていませんけど。

でも何でこのチーズ、カビたりしないのって思いませんか?
それこそダニ達の力なんですって。
ダニの身体からは防カビ成分を含む分泌液が出ていて、自分たちの食事をカビ菌に食べられないようにしているのだそうです。
その結果カビないチーズができあがっているんですね。
スローフード認定書
そしてこのダニチーズ、世界のスローフードにドイツから選ばれているようです。
スローフードについてはwikiで検索を。
このチーズでおじさんは村おこしの大事な役をやっているようで、いろいろと忙しかったりするんだそうです。
この村にはこのダニチーズがなければ絶対来ることがなかったはずですから、このチーズは成功しているんでしょうね。
これがチーズを作っているダニ君。
顕微鏡にデジカメの接写で映しています。
あっという間の3時間でした。
昼食もごちそうになりました。
焼いた鳥がはいったヌードルスープ、アジアを意識してみたそうです。
ごちそうさまでした。

今回は妻が全面的に協力、通訳にもなってくれたおかげですべて上手くいきました。
私と博士だけだったらメチャクチャだっただろうね、、、
博士、庭の土を採集中
帰りはツァイツ駅までおじさんが車で送ってくれました。
本当にいろいろとお世話になりました。
おじさんたちとは、会った時から知り合いだったみたいな感じでした。
夏に電話で話しているからもちろんその頃から知っていたのですが、それにしてもすごく楽しい時間を過ごすことができました。
おじさん達と妻は方言が一緒のため、自然と親近感が出るらしいんですね。
同じ興味を持った者同士の会合、横から見せてもらいましたがとても面白かったです。

お世話になりました、どうもありがとう!
私たち夫婦も一つ、チーズをおみやげにいただきました。
チーズのまわりにはダニ君達がしっかり付いています。
顕微鏡で動いているダニ君たちを見てしまった後、何か食べたいって気にならないんですよね。
そこで現在、夏にハレの蚤の市で買った木製の筒に入れて飼育中。
時々ライ麦粉をかけています。
今のところ無事に生存しているみたい。
見えるわけじゃないんですけど、白いライ麦粉が数日経つと薄茶色に変色しているので、活動しているんだなと。
ある程度増えたら大きな入れ物に移し、クゥァークチーズを入れてみよう。
マグデブルガー・ミルベンケーゼができるか!
ちなみに千葉では作家のKさんも飼育中。

後日、元村長から連絡がありました。
当日は彼にとっても素晴らしい一時だったそうです。
撮った写真はCDに焼いて必ず送りますからね。
Würchwitz、またいつか行く機会がありそうです。

博士もお疲れ様。
また会える陽を楽しみにしています。

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