元々、木枠に木綿のベルトが格子状に張ってあって、その上からクッション製の物を生地で枠ごとくるむように留められていたのですが、ベルトは伸び切っていてすでに張りがなく、更にクッションも今や完全に凹んでいる状態。
たまたま近所に職人さんのやっている店があったので、すべての椅子から座面を外して持ち込みました。
職人さんも「アー、こりゃダメだ、木枠はまだ使えるな」と、くたびれた座面を見るなり言いましたね。
そしてまずは生地選び。
15cm四方くらいのサンプル生地をいくつか見せられましたが、そこから出来上がった椅子を想像するのは非常に難しいです。
店には出来上がったばかりの椅子が置いてあり、その生地が少しくすんだ黄色地に数色のストライプが入ったカラフルな物。
生地だけ見たら絶対選ばなそうな物も、椅子として出来上がると雰囲気があるんですね。
かなり良い感じでした。
そういったものを見てしまうと、ちょっとひねりを入れたくなるというか、意外性にかけてみたくなるというか、、、遊んでみたい気持ちをこらえるのが大変でした。
結局、居間に置いてあるブルーグレーのソファーに合わせて、紺色地に金茶の水玉模様という落ち着いた色合いに決めました。
妻とあーだこーだ言いながら、割と長い間考えていたと思います。
横で見ている職人さんは何を思ってたんでしょう?
そういう時は大体日本語で話すので(いつも日本語なんですけど)、こちらの人は良く妻に「何語話しているの?」と聞いてきます。
そして日本語と答えると、ほとんどの反応が「すごいね!どこで勉強したの?」「日本に行ってたの?」と進み、「どこで知り合ったの?」という流れになるんですね。
お店とかでちょっと話が長くなると、私たち夫婦の出会い話とかになってしまったりするんです。
日本にいた時は妻に「日本語上手ですねー、どこで勉強したの?」ってな感じで話が進み、同じようなことになりましたが、どこの国の人もこの手の話題、好きなんですねー。
まあ、良いんですけど。
生地を選び1週間もすると、職人さんから「出来上がったから取りにおいで」と連絡がありました。
張り替えられた座面はものすごく厚みがあり、とても上品な仕上がり。
枠に張ってあった布は金属製のフレームとスプリングに換えられていました。
こんな感じ |
すべて古い物の方が良いとは言いませんが、確かに家具なんかは昔の物の方が味わいはありますね。
ボロかった椅子が、素敵なアンティーク椅子となりました。
結局家にあるすべての古い椅子を、同じ生地で張り替えてもらうことにしました。
気になる代金ですが、まあそれなりに高ったのですが、出来上がりを見ると納得のいく金額でした。
しかしここで私にとってちょっと感動的な話がありました。
ドイツではこういった家庭の事柄で、きちんとした職人(水道屋、煙突掃除屋、大工、電気工事屋など)、マイスターに仕事を頼み、その代金を銀行など正確に記録が残る機関から振り込んだ場合、確定申告時にかかった代金の何パーセントかが戻ってくるんだそうです。
そうすることにより職人さんを支えているですね。
さすがマイスターの国、ドイツ!